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「山鹿」を興す人世界が注目。最先端シルク蚕業と新ビジネス

株式会社あつまるホールディングス 専務取締役
株式会社あつまる山鹿シルク 代表取締役社長

島田 裕太さん
『株式会社あつまるホールディングス』の島田俊郎前社長が2014年に設立した農業生産法人「株式会社あつまる山鹿シルク」を2020年に継承し、代表に就任。近代養蚕が盛んだった山鹿市の標高約600メートル・広さ25ヘクタールの耕作放棄地に桑畑「天空桑園」を造成し、桑の栽培を開始。2017年、同市の広見小学校跡地に、『株式会社あつまるホールディングス』のシルク生産工場『NSP山鹿工場』が竣工し、両社協働で事業をスタート。

“シルクの町” が、再び起き上がるとき

山鹿市中心部から国道3号線を車で北上すること約10分。旧鹿北町ののどかな山間地域にさしかかると、はからずも巨大な構造物を目にすることができます。いぶし銀を思わせる落ち着いた色調をまとい、山あいの風景にとけこむやわらかなR形状を描くその建物の正体は、『株式会社あつまるホールディングス』(アグリビジネス部)が運営する養蚕工場。同所は世界初の「周年無菌養蚕システム」を備えた国内随一の大規模養蚕プラントです。完全バイオテクノロジー化した生産システムにより、同社は一年で24回もの蚕の飼育を可能にし「やまがシルク」と命名した絹を、衣類や化粧品をはじめ、石けん、医薬品、アート分野など、すでに幅広い用途に向けた素材として展開しています。

同社シルク事業誕生のきっかけは、『株式会社あつまるホールディングス』島田俊郎前社長が熊本経済同友会(月例会)において新しい養蚕業の存在と可能性を知ったことに端を発します。「かつて国策として世界一の規模を誇った日本の養蚕業を再興するまたとない機会かもしれない」。その決意から程なくして、当時(2014年)の山鹿市長と同席した会合で市長自ら「ぜひ山鹿で」と声を受けた島田前社長は、“赤い糸”ならぬ、“絹糸”がつなぐ山鹿市との縁を感じたといいます。

工場建設地と近距離にある山鹿市小坂地区の標高600メートルの山上に広がるおよそ25ヘクタール(東京ドーム5.3個分)の用地を市側から確保されたことも追い風に、同社のシルク事業は力強く動き出しました。現在、桑の栽培などの管理業務を中心に担う『株式会社あつまる山鹿シルク』運営の広大な桑畑(=『天空桑園』)では、約8万本の桑(=『はやてさかり』)を無農薬で栽培しています。それまで耕作放棄地として遊休状態となっていた土地を桑園として再生することは、管理に苦慮する山鹿市にとっても大きな意味をもつ出来事でした。

山鹿と蚕業の切っても切れない関係

「山鹿の地で新シルク蚕業構想が始まったことは、必ずしも偶然ではないんです」。そう話すのは、2020年に島田俊郎前社長の意志を受け継ぎ『株式会社あつまるホールディングス』の専務取締役および『株式会社あつまる山鹿シルク』の代表に就任した島田裕太さん。かつて隆盛を極めた熊本の養蚕業。また、その起源が山鹿市にあったことは、島田さん本人も事業を開始して知ったといいます。「山鹿は江戸時代中期に養蚕業を興した島己兮(しまいけい)氏の出身地(※1)で、全国でも極めて珍しい山鹿市鹿央町の『蚕神社』は、熊本の養蚕の起源が山鹿市にあったことを物語っています」。島氏が拓いた熊本の養蚕業はその後、幕末の思想家・横井小楠に学んだ長野濬平(ながのしゅんぺい)氏によって近代化され、海外にも輸出される国内最高水準の生糸生産に成功。近代養蚕の中核を担った長野氏が山鹿(※2)の出自であることもまた、山鹿市が養蚕の本場であったことの動かぬ証といえます。

先人が築いた燦然たる養蚕の歴史と文脈を現代に受け継ぐ立場として、「生産システムも商品開発も先進性を取り入れた働きが重要」と島田さんは考えます。絹を繊維とみなし、単に衣類(アパレル)向けの素材とするのではなく、大学や専門機関などとも連携し、最先端技術を駆使しながら医療品や化粧品、食品、はたまた工業用品に至るあらゆるジャンルに応用する可能性を常に模索しているのです。

上部写真の、いわゆる“光るシルク”も絹の新たな活用例として挙げられます。同社が2017年に主催した「2017新シルク蚕業サミットinやまが」で披露した緑光を放つ衣装展示(作品名:「Tranceflora(トランスフローラ)」)は、かつてない美術表現として多くの注目を浴びました。同作品を手がけ、サミットにも参加した現代アーティストのスプツニ子!氏もまた遺伝子組換カイコに魅了された一人。無菌環境下で安定した生産能力をもつ工場養蚕の仕組みとともに、遺伝子組換カイコというバイオ技術の活用の可能性に大きな期待を寄せています。

(※1)山鹿市鹿央町
(※2)山鹿市鹿本町

「やまがシルク」いざ、世界へ

同社が2018年に立ち上げた「COKON LAB/ココン・ラボ」は、「やまがシルク」から生まれたボディケアプロダクト。翌年から本格的な販売をスタートした同製品は現在、国内はもとより、イタリアやフランスなどヨーロッパ9カ国に展開中です。

一方、「山鹿から日本の養蚕・シルク産業を再興し、世界のシルク産業拠点をめざす」。この壮大な将来像を具体化するうえで、2016年に始動したプロジェクトが「SILK on VALLEY YAMAGA -新シルク蚕業構想-」です。これには同社のみならず、自治体(国・県・市)をはじめ、大学・研究機関、商社、地場企業・産業が相互に連携を図ることで、世界に誇る「やまがシルク」を生み出していく重要性が盛り込まれています。

また、シルク生産の拠点となる山鹿市も、同プロジェクトの実施にあたり、「遊休地解消」や「雇用創出」をはじめとする4つの効果(※3)を見込んでいます。「現プラント内の業務に携わる大半は地元や近隣地域から採用した社員です」。直接雇用の増加はもとより、山鹿市における「まち・ひと・しごと」づくりのすべてに同プロジェクトが寄与していく必要性を今、島田さんは感じています。

加えて古来から受け継がれる山鹿という町の魅力について「山鹿は、観光という側面でいえばポテンシャルが備わっています。ただし、交通インフラが弱いために、せっかく最寄り駅に着いても、そこからの移動がしづらいのは致命的。また、突出した地場産業というのも意外に見えてこない。この点も含め、本プロジェクトでかかわる市や事業者のみなさんと建設的な知恵を出していきたいですね」。

「シルク」をキーワードに、地方都市山鹿に最先端の生産技術がもたらされた現在、その限りなき可能性を一手に引き受ける若き当代(40歳)島田さんの目は希望に満ちています。

(※3) ①桑園・工場の拡大による遊休地・耕作放棄地の解消 ②工場の稼働、関連産業の集積にともなう地元雇用創出や若者などの定住促進 ③地場産業などと連携した6次産業化の推進や地域産業の活性化 ④世界に誇る新たな付加価値と高機能を備えた「やまがシルク」によるジャパンブランド力の向上と交流人口の増加

SILK on VALLEY YAMAGA
https://silk-on-valley.atsumaru.jp

COKON LAB
https://cokonlab.jp

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