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心が整う日本茶と現代の“茶師”を訪ねて

山奥にひっそり佇む、美しき無比の茶寮

山深いという表現がこれほど当てはまる立地はありません。悠久の自然景観を今に残す山鹿市鹿北町の山間部。『岳間茶寮 好信楽』は数軒の古民家が点在する山合いに建っています。「建つ」という表現を使ったのは他でもなく、ここが堂々たる邸宅だから。回廊を備える母屋。その屋根は洋館を思わせる青緑色のシックな色調。敷地は広く、往時の塀で囲まれた庭は美しい植栽で彩られています。茶寮を営む戸川裕章さん・純子さん夫婦は2020年の暮れ、それまで住んだ熊本市から山鹿市(鹿北町)に移住。ふとした縁から山鹿を訪れる機会があり、想像以上の豊かな自然環境や場所(建物)の魅力に惹かれたといいます。とはいえ、元から移住を強く望んでいたわけではなかったという夫婦が、なぜこれほどまでの山奥に居を、そして茶寮(店)を開くことになったのか。それには、夫であり“茶師”の裕章さんの、ある思いがありました。

風味高尚。由緒ある「岳間」の茶

鹿北の名産品である「岳間茶(たけまちゃ)」は元来、肥後細川家の御前茶として寵愛された歴史をもち、その変遷を伝える史料には1630年代前半頃から「岳間」の地名が登場します。深山から湧き出る美しい山水はもとより、寒暖差の大きな気候条件にも支えられ「岳間茶」は全国的にも高品質な茶葉として知られています。さらに、香りや色を引き出すために、揉み作業に重点を置いた“蒸し製玉緑茶”という製法を採っていることも、岳間茶を語るうえで、欠かせない要素のひとつです。

新たな道を進むきっかけ

そんな“茶処”に自宅を兼ねる茶寮と茶畑を営むことになった戸川夫妻。実は夫の裕章さんは日本茶に関わる仕事に携わって20年以上のキャリアを誇ります。かつて在籍した茶の仕入れ・加工・販売などを担う会社で培った日本茶の知識をはじめ、作り手との信頼関係を軸足に、裕章さんは日本茶の魅力を再認識できる場や事の創出をしたいと考えるようになりました。一方、ライフスタイルの多様性とともに細分化する食卓事情にあって、日本茶がかつてほどの親しみやすさや勢いを失っていることも、戸川さんが“新たな道”=『岳間茶寮 好信楽』を進み始めるモチベーションになっています。

茶寮の入口となる正面玄関をまたぐと、たちまちのうちに燻した茶葉の芳しさが鼻を通り抜けていきます。心落ち着くその香りはどこか懐かしさもあり、日本人としてのDNAを呼び覚ますような感覚さえあります。茶葉そのものにこれほどの香りがあるのかと驚く筆者に「番茶を強火で煎るとほうじ茶になりますからね。その香りなんですよ」。と純子さんが微笑みながら教えてくれました。

日本茶の魅力を再編集する場

玄関をあがり、趣のある木の廊下を少し行くと、想像を超えるスケールの“茶の間”が広がります。

土間のような設えとなった一大空間に、霧島(鹿児島)や伊勢(三重)、静岡など裕章さんが津々浦々から取り寄せた日本茶をはじめ、急須や湯さまし、茶通しなどの茶器が美しく並びます。

また、同空間の奥側には真四角の炉(ろ)も。

ここでは、着流し姿の裕章さんがお客に茶を淹れるだけでなく、対話によってその日あるお茶の魅力や特徴はもとより、茶器そのものの扱いかたを実演を通して学ぶことができます。その体験は、なにも茶道のような作法や型というかしこまった性格のものではなく、かつて日本の家庭(居間)で一般的にあった、家族の誰かが自分のためにお茶を淹れてくれた習慣を追体験するような感覚に近いかもしれません。

「端的に言えば“お茶の楽しみ方”を伝えていくこと。産地で異なる味や香りはもちろん、その道具についても。自分自身で掲げる“茶師像”は、私がこれまで自分の目で見てきたあらゆるお茶の魅力を、肩肘張らずに伝えていくことにあります」。裕章さんの思いは、早くも日本茶を好む各地のお客はもとより、日本茶を口にする機会の少ない若い年齢層にまで広がりつつあります。それには時期をみて開催するワークショップも一役買っているようです。「お茶の淹れ方をテーマにした会では、同じお茶でも淹れる人によって味わいが違うことを知ってもらえましたし、お茶そのものを知るという主題で、科学的な資料や自分の体験から講座をしたこともありました。また今年は、茶摘み体験も好評でしたね」。SNS(インスタグラム)※上で毎朝7:45からライブ配信される“朝茶ライブ”も含め、すべてが“体験”によってもたらされる『岳間茶寮 好信楽』発お茶の楽しみ方と魅力。昨今のコロナ禍で制限を強いられる生活にこそ、“日本茶”という習慣を取り入れてみるのも一興かもしれません。取材が終盤にさしかかった頃、戸川さん夫婦は最後にこう付け加えてくれました。「心で淹れるもの。心で飲むもの。それが日本茶です」。

※ 公式アカウントは @teadesigner_16

岳間茶寮 好信楽
熊本県山鹿市鹿北町椎持2180番地
050-3591-1619
完全予約制
不定休

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