多彩なアイデアがつまる、眼福、満腹、至福の料理
- 自然の恵みをいただく
- 更新日:2021.10.30
人生の巡り合わせが生んだ『一二三食堂』誕生ストーリー
店のオーナーでありシェフの谷本充史(みつふみ)さんは、およそ10年前、知人の飲食店開業準備のサポートをきっかけに初めて山鹿の地を踏みました。現在42歳の谷本さんの出身は、四方を美しい海に囲まれた長崎県平戸市生月町。高校卒業を機に福岡での生活を開始以来、調理だけにとどまらない様々な飲食業務に携わってきました。「これまで自分が積み重ねてきたこと、それも、なかなか地道な経験の延長にこの店があるのかなと思います」。偶然にも山鹿で伴侶を得たことやフォローに入った店での勤務経験も手伝い、2020年、谷本さんは自身の店『一二三食堂』を開業しました。「開店時はすでにコロナのただなか。街本来の活気という点で、観光客の多さや山鹿燈籠まつりのにぎわいをまだ味わえていないのは残念ですが、日ごろから弁当やオードブルのテイクアウトも含め、様々なメニューづくりに励んでいます」。2階建ての古民家を改装したモダンな和を感じる外観。木枠の窓越しに厨房の様子をうかがえるオープンなつくりもまた、山鹿の街に新しい風景をもたらしています。
市街地を南北に貫く豊前街道の南側エリア。店の真向かいには山鹿随一の歴史と知名度を誇る『千代の園酒造』があります。昼は種々のランチメニューに加え、季節の旬が詰まった弁当やオードブルを展開。また、コロナ禍で営業が制限されていた夜の時間帯は、お酒とともに味わえる肉や魚を主とした色鮮やかなビストロメニューが再びテーブル上を彩りはじめています。「メニューすべてを山鹿の食材でというわけにはいきませんが、一つひとつの素材は近隣の生産者から仕入れるものがほとんどです」。
かつては飲食店のひしめき合う福岡市内で、料理人としての腕やサービスの心得を育んできた谷本さん。人の縁にも恵まれ、老舗フレンチ店での勤務をはじめ、九州最大級の歓楽街・中洲で店の運営を任されたこともありました。「華やかというより苦労が多かった分、経験値は高いと自負しています(笑)」。
馴染みはあるが、新しい。味わう楽しみをかき立てる料理
谷本さんが手がける料理の魅力。そのひとつに「鮮やかさ」が挙げられます。メインをはじめ、定食やデザートにいたるすべての料理はエネルギッシュな色彩を放ち、十分なボリュームとともに満足感を得られます。また、普段から「きれいになりすぎないこと」を料理の矜持にしているとあり、一皿に盛りつける具材の豊富さにも驚かされます。
一方、フレンチやイタリアン、中華など、展開メニューの幅広さも特長です。日替わりで提供する弁当はもとより、ディナー向けの一品「鴨のロースト(1,200円)※写真」も、谷本さんの手にかかればご覧のとおり。口の中で徐々に広がる旨味は、ワイン・日本酒との相性も◎。いわゆるレストランやビストロとは異なり、通り一遍のコースではなく、誰もが親しみのある洋食メニューを独自にアレンジしている点も魅力です。連日SNS上で公開される翌日の弁当(メニュー)ひとつとっても、日々鮮やかに更新されるメニューを楽しみにするお客さんの反応が見られます。
「若い人が気軽に立ち寄れる店って、山鹿にはまだ数えられるほど。自分とこの店のように、近年は移住者(帰省者)が開業したお店が増え始めているので、通りの店が一体となって楽しく利用しやすい場をつくっていきたいですね」。料理人であり”移住者”の谷本さんが挑む地域活性の挑戦はこれからが本番です。
shop info
一二三食堂
熊本県山鹿市山鹿1793-4
0968-41-8733
ランチ11:30~14:00
ディナー 17:30~21:00
火・第3月曜休